にっしん(@nisi_otabloger)です。
一昔前によく言われた「ゆとり教育」
教育問題に関しては、かなり注目を受けて非難の対象になりましたが、今はあまり聞かなくなりましたね。
ゆとり教育に基づいた指導カリキュラムはなくなりましたが、ゆとり世代というのはいつから始まってどのくらいで終わったのか?
これはっきり答えられる人って少ないと思います。
そのゆとり教育を受けた世代を「ゆとり世代」と言っていますが、それの範囲といったいいつ終わったのかについてまとめてみました。
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ゆとり世代は1990年台後半から2000年台前半
ゆとり世代と呼ばれるのはだいたい1990年代後半から始まりました。
「始まりました」というか、ゆとり教育が始まった世代がその教育を受けた世代が1990年代後半に生まれていると言ったほうが正しいでしょう。
小・中学校で「ゆとり教育」という学習指導要領に改正されたのは、2002年度から2010年度までです。
この間、9年(*)であり、2002年に小学校を入学する子が生まれたのは、その前の6年前の1996年です。
*念のため。8年と思われがちですが、2002年も入るので9年です。
そこから計算すると、ゆとり教育が導入された時の年長は2002年の時に中学3年生だった子どもたちです。中学3年生は満15歳なので、生まれは2002年から15年を引いた1987年になります。
そして、ゆとり教育を受けた子どもたちで一番最後、すなわち2010年に小学校に入学した子たちの生まれは、2010年から6年を引いた2004年です。
まとめますと、ゆとり世代と言われるのは、「ゆとり教育を受けた世代」と広く定義した場合は1987年~2004年(早生まれは前後)の生まれの人たちになります。
小学校低学年のまま終わったり、中学校3年生でゆとり教育が始まった世代はほとんど影響はないと思うので、厳密にゆとり教育を受けた世代を考えるともっと短くなるかと思います。
ですが、期間的な話だけで言うと、「ゆとり世代」と言われているのは1987年~1996年生まれの人たちといえます。
広義と狭義がある
ゆとり世代というのは、学習指導要領によって広義的なものと狭義的なものがあるそうです。
先ほどまで解説したのは「狭義的」な指導要領となり、「広義的」なものは、
「1980年度から2010年度までの学習指導要領にもとづくもの」
とされているようです。
ただ、一般的に世間で言われて問題になっているのは狭義の意味で言われることが多いので、狭義的な期間の感覚で良いでしょう。
ゆとり世代を細かく分けると…
1987~1996年生まれがゆとり教育の世代ですが、もっと細かく分ける事もできます。大きく3つの世代に分けることができます。
①ゆとり第一世代
1987年~1989年生まれの世代の事で、中学校時代にゆとり教育に切り替わった世代です。
- 中学校時代に学習要領が変更
- 大学受験の時はセンター試験に英語にリスニングが導入、対策に追われる
- 大学生時代もリーマンショックがあり、就職に大影響
と時代の変化を大きく受けた世代かもしれません。
教育現場は混乱、世の中も揺れ動いていて、ゆとりどころか「ゆとりのない世代」と言われています。
不可抗力含め、色々な意味で振り回されてしまったと言えますね…。
②ゆとり・さとり世代
第一世代の後の1989~1995年生まれの世代です。
小さいころにバブル崩壊を経験し、のちにリーマンショックなどの不景気を多く経験していることから「さとり世代」とも呼ばれています。
ゆとり教育導入後、完全週休5日制となる中、学力低下も目立ち、ゆとり教育への不信感が強くなった時代です。
インターネットが進化して大きく普及し始めた時代でもあります。
③脱ゆとり世代
1996~2003年生まれの世代であり、小学校から脱ゆとり教育を受けた世代です。
「脱」といっても「生きる力」などゆとり教育の方針を引き継いでいるので、ゆとり教育が始まる前とは異なります。
そういった意味では、改善された教育指針で指導を受けているので恵まれている世代と言えるかもしれません。
社会に出て間もない世代なので、どうなるかはこれからでしょうか。
そもそも「ゆとり教育」とは?
ゆとり教育というのはどういったことか?これをはっきり答えるのは難しいですよね。
考え方は、それまでの詰め込み式教育の批判から、
「個性重視」
「生涯教育体型への移行」
「国際化、情報化などへの変化の対応」
などをまとめ、学習指導要領に反映されました。
そして、校内暴力やいじめなどの社会問題を背景に色々な指摘から「生きる力」の育成が必要であると結論づけられました。
その後、「調べ学習」などの思考力を身につけることを目的にした学習内容が多く盛り込まれ、最終的に「生きる力」を重視し、授業時間の削減などの「ゆとり教育」をスローガンにする学習指導要領が成立しました。
要は、
- 単に言われたことだけをやるのではなく、自主的な学びを推奨
- そのための時間確保のために授業時間などを削減
大まかに言うとこれらが「ゆとり教育」の基盤となったわけです。
そして、実際の教育では
- 教育内容を厳選し減らす。
- 授業時間を削減(小学校:418時間、中学校:210時間)
- 完全学校週5日制、絶対評価の導入
といったことが行われました。
詰め込みの受け身の学習から能動的、発信的な学習へ変化していきましたが、結果的には国際学力テストで順位を落としたりと学力低下が指摘されました。
それを受けて、2008年以降は学習指導要領が改定されています。
個人的に思うのは、いきなり自分で考えさせたりするような教育方針になって先生方が一番戸惑ったんでないかなと思います。
それに、試行錯誤するなどは、ある程度の家庭で教えることでしょう。それが、学校で教えることになり、先生の負担が増えたように感じるのは僕だけでしょうか。
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なぜ「ゆとり教育」世代が嫌われるのか?
「これだからゆとりは」などとよく批判の対象にされがちなゆとり世代ですが、実際現場でどういったことが起きていたのでしょうか。
僕自身、生まれはゆとり第一世代の数年前の生まれなので大きく変化は感じなかったのが実際ですが、どのようになっているかまとめてみました。
念のためですが、個人的に全ての人がそうだとはもちろん思っていません。あしからず。今から紹介することは全ての世代に言えることだとも思っています。
嫌われる理由① 効率性重視、指示待ちで、消極的
言われたこと以外は自らが動くことはありません。
これは自分が出ると効率が悪いから、他の人が出る方が効率がいいと思うからと考えるところがあるようです。
ゆとり教育で周りがやることをお膳立てしたり、詰め込み型教育の名残が残っていることで「考える力」が不足していたからかもしれません。
ゆとり教育とは関係なく、過保護に「ああしろ、こうしろ」と育てられた世代とも言えます。
それにインターネットの普及などで調べてればすぐに答えが出る事も、「自分で考える」という機会を失わせたのではないでしょうか。
余談ですが、昔のテレビゲームの攻略法は攻略本がなければ、友達の情報などから仕入れるしかありませんでした。
どこからともなく情報が流れて、それをクラスメートなどでシェアしていました。
その限られた情報から試行錯誤してクリア、条件を満たす術を考えたり学んだりしたものです。
インターネットが普及した今、生活のことでも身近に簡単に手に入る「インターネット」という攻略本があるようなものです。
ゆとり世代はインターネットが大きく普及した世代でもあるので、「考える力」の成長を阻害したというのもあるでしょう。
そういう意味では、「教育」の問題以外の世の中の環境に大きな影響を受けた世代が「ゆとり世代」かもしれません。
そこを考えると、インターネットの普及の弊害を教えなかった大人たちにも責任があると言えるでしょう。
「答えは自分以外の他のものや誰かが与えてくれる」
そんな風に考え、それが当たり前と考えたら指示待ちになるのは無理もありません。
かと言って、指示待ちの人が肯定されることはありませんけどね。そこに気付いて行動することが求められると思います。
嫌われる理由② ストレスに弱い、オンリーワンでプライベート優先
家庭内で「褒めて育てる」という教育方針が主流になり、虐待や家庭内暴力、体罰などが問題化し、昔ながらの教育が否定されつつある時代でした。
それだけに、周りが叱れなくなったことから、ストレス耐性が低い傾向にあるようです。
「叱る」と「怒る」の区別が付いていないことや、親の過保護・過干渉により、のちの
- モンスターペアレント
- ヘリコプターペアレント(ヘリ親)
などが問題になるキッカケにもなったかもしれません。
最初の①の部分でもそうですが、「自分以外の何かがなんとかしてくれる」という思いが弱さにつながり、ストレスに弱くなっているのでしょう。
追い込まれた時に自分はどうするか。これは学生のうちから学んでおくべきことなのかなと思います。
そして、プライベート第一主義とも言われているようで、仕事後に居酒屋などに行って交流を深める「飲みニケーション」が通用しません。
「みんな一緒」から「個人の確立」になっていったという点では良い変化だと思いますし、僕もこの考え方はゆとり世代よりの考え方です。
ですが、職場となるとプライベート優先の考え方は歓迎されませんし、嫌われる原因になりますね。
だからこそ「ナンバーワン」より「オンリーワン」が主張される部分もあり、その傾向が強いのだと思います。
個人の見解ですが、「オンリーワン」でも良いと思います。
ただ、自分ができなかったり、努力しない逃げ道として「オンリーワン」を使うから嫌われるのではないでしょうか。
僕が会った中で、「オンリーワン」で光っている人は「ナンバーワン」を目指したり、高みを目指している人が多いです。
決して、何もせずに「オンリーワン」を主張する人と違います。
当時、そういった歌も流行りましたが、僕は違和感しかありませんでした。意味を履き違えると嫌がられるのは無理もないでしょう。
ゆとり教育で相対評価から絶対評価への変更も、競争意識の低下につながり、オンリーワンに拍車をかけることにもつながったと言えるのではないかと思います。
嫌われる理由③ すぐ辞める、すぐに結果を求める
4月の入社シーズンになるとよく言われることですね。入社式で辞めたり、半日で辞めたり。その行動力はすごいなとも思います。
イメージとの大きなギャップがあったり、思っていた事と違って方向転換するために辞めるなら良いですが、1度辞めてしまうと辞めグセが付きます。
先ほどまでのストレスに弱いというのも原因でしょうし、自分で困難に立ち向かった経験が少ない事も原因でしょうか。
ただ、これは僕より上の世代(30代後半以降)の人たちにも言える事なので、ゆとり世代の人たちがどうとかというのは一概に言えないでしょう。
それゆえにすぐに結果を求めたがるところあります。
何かを調べても、インターネットですぐにわかってしまったり、周りのお膳立てに「すぐに答えが出ると思う」「答えが出ないと諦める」ところがあると言えるでしょう。
これは先ほども書いた通りです。ここから「自らが考える癖」がない傾向にあると考えることができます。
嫌われる理由④ コミュニケーションが取れない、恋愛経験が少ない
これは「ゆとり」というより、パソコンをはじめとした通信機器の発達が生み出した弊害でしょう。
「ゆとり世代」とくくるならそうでしょうが、それでくくるのはちょっと気の毒だと思います。
スマートフォンで今はなんでもできる時代です。
TwitterなどのSNSさえあれば遠方の人とのやりとりも容易にできるので便利になった分、リアルでのコミュニケーションの機会が減りました。
仕事を辞める時もメールで辞意を伝えるなど、今までは「有り得ない。非常識」と言われるような事もしてしまうのも便利さゆえでしょう。
③のすぐ辞めるというのは、このコミュニケーションの便利さと未熟さからきていることでもあると言えますね。
そして恋愛経験が少なく、実際にあるデータで20代で恋人がいる人(ゆとり世代に関係している年代)は、
男性では5人に1人
女性では3人に1人
とも言われていて、少ない水準になっているようです。
このデータは「コミュニケーションの低下」を裏付ける理由の1つと言えるでしょう。
嫌われる理由⑤ パソコンが使えない
ちょっと意外と思うかもしれませんが、考えたら納得ですね。
④でもあげたように、今はスマートフォン、タブレットでなんでもできる時代です。
文書の作成もできるし、表も作成する事もできます。あんな大きいパソコンがなくても問題ないわけです。
ですが、効率よく仕事をする上でパソコンは欠かせないアイテムであり、タブレットがあってもパソコンには敵いません。
ですが、スマートフォンやタブレットに慣れているとパソコンは使えない、なんて事も十分考えられます。
僕の世代(1984年以前)は、通信機器が発達していても
パソコン
携帯電話・PHS(またはポケベル)
という時代で、携帯電話は高校生になって初めて持つくらいでした。
当時、小・中学生が携帯電話を持つことに驚きと「まだ早い」と感じられてもいた時代です。
「小中学生が携帯電話を持っているなんて生意気」くらいに思われていました(笑)
そして、表を作ったり、書類を作成するならパソコンなしではあり得ませんでした。タブレットなんて夢のまた夢です。
なので、僕らの世代はパソコンはある程度使える世代ですが、ゆとり世代となると、小学生から携帯電話は当たり前ですし、コミュニケーションもTwitterやLINEなどがあれば大丈夫。
今はLINE以外にもインスタグラムなども使えるし、パソコンがなくてもなんとかなってしまう時代ですね。
このようにパソコンの扱いに慣れていないものの、普段からそういった機器の扱いは慣れている世代なので、操作は慣れればすぐ覚える力はあります。
「ゆとり」と決めつけないで相互理解する事が大切
「ゆとり」と呼ばれる期間と、ゆとり世代が嫌われる理由についてまとめました。
これらはあくまで特徴だけで、全員がそうだというわけではないのは最初に上げたとおりです。
社会背景として、教育以外にも通信機器などの影響で考え方が自分とは大きく異なるという事を念頭に置いて、少しでも理解していけるといいですね。
そしてゆとり世代の人たちも、自分らの取り巻く環境から、自分らの考えがすべてではないという視点が必要でしょう。
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